南蔵院(なんぞういん)は福岡県粕屋郡(かすやぐん)篠栗町(ささぐりまち)にある高野山真言宗の別格本山です。福岡中心部から車で約30分とアクセスのよい立地にもかかわらず、自然豊かで、境内は広く、水も豊富、素晴らしい境内を堪能できます。
目次
南蔵院の釈迦涅槃像
南蔵院といえば、巨大な釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)が有名ですね!寝仏(ねぼとけ)さんとも呼ばれています。矢印の下に人がいるのですが、比べると大きいですね~!
全長は41m、高さ11m、重さ約300トン。ブロンズ製としては世界一です!立てるとだいたいアメリカの自由の女神くらいの大きさだそうですよ。
釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)とは、「仏教を開いたお釈迦さまが息を引き取る前、お弟子さんたちに見守られる中、身を横たえ最後の説法をしている姿」です。
写真でわかっていても、実際に目の前で見ると迫力がすごい!初めて見た時は私も「わわわぁぁ…」となりました。
ねはん像すすはらい
涅槃像は毎年年末にすす払いが行われ、今年は2021年12月26日(日)午前11時です。
なぜ涅槃像を作ることに?
南蔵院では、長年にわたりミヤンマ―、ネパールなどの子どもたちに医薬品などを贈り続けていて、そのお礼としてミヤンマ―より仏舎利(ぶっしゃり:お釈迦さまの遺骨とされるもの)の贈呈を受けたそうです。その仏舎利をおさめるために建てられたのが涅槃像です。
どうやって作ったの?
建設当時の西日本新聞の記事によると、総工費は15億円。富山県で製造されたブロンズパネル約320枚を、ここ南蔵院で組み立てたのだそうです。
もともとは善意で行っていた行為。それに対する返礼品をおさめるために15億円をかけてこの涅槃像を作ったのですから、いただいた仏舎利がいかにお寺にとって貴重な物だったかわかります…。
お釈迦様の足跡を石に刻んだもので仏足(ぶっそく)と呼ばれるそうです。
完成1か月後に…!
そうして1995年にようやく完成した涅槃像ですが、その翌月すごい事がおきます。南蔵院の林覚乗(はやしかくじょう)住職が、なんと宝くじで1等前後賞合わせて1億3000万円に当選します。すごいですよね!
でもこれで驚いてはいけません。ご住職はその10日後に再び560万円を当てたのです。こんな嘘のような本当の話が世の中にはあるんですね~!このことから、南蔵院の釈迦涅槃像はその大きさだけでなく、金運アップのパワースポットとして広く知られるようになりました。
でも、「これからは遊んで暮らすぞぉ~」と思わないところがやはりこのご住職の素晴らしさで、その後は全国で講演や、福岡いのちの電話顧問、また福岡刑務所の篤志(とくし)として熱心に活動されているそうです。お人柄がうかがえますね。
涅槃像の体内めぐり
自分も最初は知らなかったのですが、500円を払うとこの涅槃像の体内に入ることができます。(撮影禁止のため写真はありません)仏様の頭の方から入って、足から出るようになっています。
木のお札に名前と祈願を書いて、靴を脱いで入ります。まっすぐ伸びた細い道を進み(ここ綺麗です)、小さならせん階段を上ると、全面がガラスの小さなお部屋があります。
人が2~3人入ればいっぱいの空間で、そこは涅槃像の体内でいうと心臓あたりだそうです。ガラスの内側にいる人に木の札を渡すと、女性がマイクで説明をしてくださいました。
他にも部屋はいくつかありましたが、そこは自由に入れず、再びらせん階段をおりて終わりました。
涅槃像の内部はきっと薄暗いんだわ。狭い木造の家屋で、腰を低くして「どこどこ?」なんて言いながら進むのよ…などと勝手に妄想をふくらませていた私は、あまりのしっかりした作りにびっくり…笑。
でも少しだけ違和感はあって、縮尺3分の2の世界にいるような感じです。中の構造を知りたい方は入ってみてくださいませ。
涅槃像の下は納骨堂入り口と仲見世通りになっていて、おみやげ屋さんが軒を連ねています。
南蔵院のもうひとつの顔
南蔵院は涅槃像が有名ですが、古くから弘法大師・空海が修行した八十八箇所の「篠栗四国霊場」の第一番札所として知られています。
明治時代に入り、廃仏毀釈(仏教を排除しようとする運動)のあおりで霊場廃棄令が出されたのですが、地元の人々の長年にわたる嘆願の末、存続が認められました。
こうした地元の方の熱意のかいあって、現在では篠栗四国霊場は四国の知多、小豆島とともに「日本三大新四国」のひとつとなっています。
今こうして南蔵院を訪れることができるのも、篠栗町に住む人々のおかげだったのですね。
ちなみに八十八箇所のうち、1、3、31、45、60の5つの札所が、南蔵院の境内にあります。写真は31番札所の「城戸文殊堂」です。
不動明王
大不動明王像は右手に剣、左手に縄を持ち、炎の中でも揺るぎない姿で立っています。煩悩(ぼんのう:人が生きる上で感じるさまざまな苦しみの原因)を断ち切り、すべての悪を降伏させるために怒りの相を表しています。
ここでは「不動明王柴灯大護摩法要」が行わます。
日付 | 2021年11月14日(日) |
時間 | 11時より |
「護摩(ごま)」とは密教の秘法で、仏様の知恵の火で煩悩・業苦を焼き尽くす、護摩木に祈願・供養を書き、その木を燃やして仏様に祈る法要です。
御神木
不動明王のそばにあるこの木は、20年ほど前に雷が落ち皮が剥げているのですが、古来の言い伝えで「被雷した木には神が宿る」といわれ、仏像を彫ったり数珠を作るのには最高の木なのだそうです。被雷した木に仏師が雷神を彫り、現在は災いを防ぐ神様として人々に崇拝されています。
篠栗霊場発祥の地へ
左の坂を進んでいくと、不動明王が祀られている45番札所があります。
滝の周りにはたくさんの不動明王が鎮座していて、水の音と相まって強烈なパワーを感じます!この滝は、滝修行の場となっていて、篠栗霊場発祥の場所でもあります。
洞窟内にも不動明王が鎮座しているのが見えます。
滝のヨコに小さな洞窟「不動霊水窟」があり、中に霊水があります。
中は薄暗くとても神秘的です。瓶に入っている水は山の湧き水で、飲むことができるそうです。(こんな時代なのでいまはみなさん遠慮してると思いますが…)
こちらは平家の落人が隠れていたという伝説の岩「平家岩」でくぐることができます。
そのまま鉄のくさりに沿って岩山を登れるようになっていて、さきほどの城戸ノ滝不動堂が下に見えます。
本当にたくさんの石像があちらこちらにあり、両脇から見守られるように山を下りてきました。通るだけでご利益がありそうです!
ここからは長いトンネルをくぐります。トンネル内に七福神様がまつられているので、「七福神トンネル」という名前がついています。
こちらが七福神様です。
南天稲荷神社
トンネルを抜けると、稲荷社へつづく階段があり、上に小さな稲荷神社があります。
ずっと階段なのでちょっと大変ですが、なかなか風情ある参道を楽しめます。途中でベンチもあります。
最後、かわいらしい橋を渡ると南天稲荷神社です。
大師堂(たいしどう)
近くまではいけないのですが、奥に空海が鎮座されています。
金属製の五鈷杵(ごこしょ)があり、静かになでると、すべての邪心・煩悩・悪心を打ち砕き、人身に迫る諸悪魔をも打ち払うと言われています。
飲食・お土産
入口すぐにあるお土産屋さん&お蕎麦屋さん「たまや」です。カレーとかもあります。店内もきれいで味もおいしかったです。
営業は11時30分から。定休日なし。ラストオーダーは15時00分と少し早めです。(2021年現在)たまやTEL:092-947-0245
南蔵院 紅葉
紅葉の最盛期には行ったことはないのですが、偶然にもこの写真をみたら数年前の今日(11月11日)撮影していました笑。少しでもお出かけの参考になれば。
他の写真にももみじの木がたくさん写っていたので、これから行かれる方は紅葉も一緒に楽しめそうですね。(*^^*)
この参道もモミジの木がありました。
南蔵院 アクセス
- 高野山真言宗別格本山 南蔵院
- 〒811-2405
福岡県糟屋郡篠栗町篠栗1035 - TEL:092-947-7195
- 時間:9時00分~16時30分
- トイレ自販機:あり
- 入場料:無料
(体内参拝500円) - 駐車場:無料/民間有料あり
- 公共の交通機関:
JR福北ゆたか線(篠栗線)城戸南蔵院前駅下車 徒歩3分(博多駅から快速で20分)
南蔵院 駐車場
一番ストレスなく停められて、収容台数があるのがJR篠栗線『城戸南蔵院前駅』そばにある有料駐車場です。200円なので安いです。
ただ、行き先を「南蔵院」に設定すると、ナビが駐車場まで連れて行ってくれず、国道沿いで突然「到着しました。」となるか、行き過ぎてしまう可能性があります。
行き先を「城戸南蔵院前駅」に設定すると、駐車場まで連れて行ってくれると思います。
どちらから来るかにもよりますが、目印は茶色い「井上商店」の建物。(逆から来ても看板は見えます)
曲がってこの道を入ります。
橋を渡って道なりにいくと駐車場があります。
ちょっとわかりにくいのですが、右手に行くと、南蔵院参拝者用の無料駐車場があります。(砂利です)
南蔵院は納骨堂もあり基本は参拝者専用の駐車場なので、自分は有料の駐車場に停めるようにしています。
【福岡市方面から福岡東バイパスを使ってくる私と同じ方向音痴の方へ】
「鳴淵ダム入口交差点」に来たら、左の国道201号に入ってください。そのままつながっている八木山バイパスにふわぁ~っと登らないようお気を付けください。やつは道を広げて優しく迎えてくれますが、騙されてはいけません笑。
ここから車で約15分です。
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